Linux MintとUbuntuの比較
UbuntuをベースにしたLinuxディストリビューションの一つ。Ubuntuの方が日本のユーザーが多いようで日本語の環境構築も楽だが、日本語化は十分に可能。Linux Mintのウィンドウマネージャー(GNOME)の方がUbuntuのそれ(Unity)より使いやすい。最初はデフォのウィンドウマネージャーしか使おうとしていなかったが、cinnamonとか別のウィンドウマネージャーを使うのがおすすめ。コマンド一発でインストールできて簡単だし、何よりそっちの方が使いやすそうに見えてならない。前の記事で書いたが海外だとLinux Mintの方が人気があり、これから日本のユーザーも増えていくと思われる。 デスクトップ環境の使いやすさは、ウィンドウマネージャーによるところが大きいと思う。それ以外の操作性でLinux MintとUbuntuで何が違うんだろう・・・。Linux MintはUbuntuをベースにしていて、Ubuntuで動くものは全部動作しつつ、プラスアルファを持ってきているような点に惹かれてインストールしてみたが。
インストール
- Windows 7でパーティションを縮小して割り当てられていない領域をさらに20Gほど作る。
- 公式ページ(ttp://linuxmint.com/)からLinux MintのisoイメージをダウンロードしてDVDに書き込む。 Ubuntuのダウンロードページで32bit(recommended)となっていたので、Linux Mint12 DVD 32-bitを使った。 isoイメージをUSBに書き込んでUSBブートでインストールする方法もある。(参考: USBブートでLinuxをインストールする方法(UNetbootin) ) 。インストールCDはシステム修復ディスクのように使えるから1つは作っておくのがいいと思う。USBはCD/DVDよりも転送速度が速く、インストールが早く済むと思う。
- DVDから起動すると、最初からウィンドウマネージャーが開いた。端末を開いてネットワークに接続されていることを確認してから、Install Linux Mintアイコンをダブルクリックしてインストールを開始。DVDに焼いたのにやたらダウンロードが多い。Restricted driver availableというメッセージが出てNVIDIA Driverをインストールできた。いつものことだがここまでは簡単に終了する。以下、日本語環境構築とかその他作業について書く。
- アップデートマネージャーでアップデートを適用。 確か右上から辿れたはず。
- Caps LockをControlに変更する。「システム設定>キーボード>レイアウト>オプション>
Make Caps Lock an additional Control but keep the Caps Lock keysym(これよりCtrlキーの位置>Make Caps Lock an additional Ctrlの方がいい。wineを動かしたときに効かなかった為)」を選択する。 - (先に下の日本語環境構築のページをやっておいた方がいいかも)
「システム設定>言語サポート」を押すと、日本語環境をインストールしようとしだす。ttp://security.ubuntu.com/ubuntu/pool/main/f/firefox/firefox-locale-ja_8.0+build1-0ubuntu0.11.10.3_all.debで失敗したというエラーが出た。Webページを開くとそのファイルが置いてない。代わりのバージョンのファイルを手動でインストール。Firefoxのバージョンに合わせて12のものを取ったほうが良かったかも。
sudo dpkg -i firefox-locale-ja_7.0.1+build1+nobinonly-0ubuntu2_all.deb - google日本語入力(ibus-mozc)をインストール。sudo apt-get install ibus-mozc して言語サポート>キーボードに使うIMシステムにibusを選ぶ。「ibusの設定>インプットメソッドの選択>日本語>Mozc」を選んだり、ログオフ・ログインしたり、(ibus-mozcをアンインストール・インストールしたり?)と、試行錯誤する必要があった。
- 日本語環境の構築のページを参考にして実施。先にやっておいたら良かったかも。
wget -q https://www.ubuntulinux.jp/ubuntu-ja-archive-keyring.gpg -O- | sudo apt-key add -
wget -q https://www.ubuntulinux.jp/ubuntu-jp-ppa-keyring.gpg -O- | sudo apt-key add -
sudo wget https://www.ubuntulinux.jp/sources.list.d/oneiric.list -O /etc/apt/sources.list.d/ubuntu-ja.list
sudo apt-get update
sudo apt-get upgrade (←インストールをやり直しているんじゃないかというくらい長い。実行中にdefaults.list をどうするか聞かれたがデフォルトのEnterで進んだ) 続いて以下のも実施。 sudo apt-get install ubuntu-defaults-ja
sudo wget https://www.ubuntulinux.jp/fonts.conf.d/oneiric-69-language-selector-ja-jp.conf -O /etc/fonts/conf.avail/69-language-selector-ja-jp.conf
sudo fontconfig-voodoo -s ja_JP (←すでに存在すると言われたが上書きはしていない。差が分からない。どっちでもいいのかな) - Firefoxが途中で英語になってしまったらしいので日本語に戻す。ttp://releases.mozilla.org/pub/mozilla.org/firefox/releases/12.0/linux-i686/xpi/ (12.0はFirefoxのバージョン、i686は32ビットの意味)にあるja.xpiをFirefoxで開くと、Language Packのインストールが始まる。
- geditでファイルを開いた時に日本語エンコーディングの自動判定がうまく行かないのを直す。
$ gsettings set org.gnome.gedit.preferences.encodings auto-detected "['UTF-8','CURRENT','SHIFT_JIS','EUC-JP','ISO-2022-JP','UTF-16']" - Windowsを優先的に起動するように/etc/default/grubを編集する。 GRUB_DEFAULT=0 を GRUB_DEFAULT="Windows 7 (loader) (on /dev/sda2)" (←この文字は/boot/grub/grub.cfg に書いてある)に書き換える。ディスクユーティリティで/dev/sdaの番号を確認。 その後 update-grub を実行して反映させる。
- 起動時にWindowsパーティションをマウントするように/etc/fstabを編集する。
/dev/sda2 /media/OS ntfs default 0 0
/dev/sda5 /media/Data ntfs default 0 0
mkdir /media/OS /media/Data もしておく。 - 自動起動するアプリケーションを整理する。「アプリケーション>その他>自動起動するアプリケーション」でCaribou、GNOME Login Sound、mintUpload、MintWelcomeを外す。
- V2C(Javaで動く2ch閲覧ソフト)をインストール。(別の紹介記事で書いたが、Dual起動になってる場合、Windows環境にインストールしたV2Cを動かすのがいいと思う)。ttp://v2c.s50.xrea.com/からtarアーカイブをダウンロードして解凍する。v2cが実行コマンド。
保存用ディレクトリ(「ヘルプ>V2Cについて」で見れる)の下に style というディレクトリを作ってその下にGCV2.zipを置く。(ttp://gainsboro4126.web.fc2.com/index.html の GCV_boxshadow_.zipというスタイルから背景画像を抜いたりしたもの)。「設定>レス表示スタイル>全体>選択したスタイルを使用する」でそれを選ぶ。「BBSは全体の設定に従う」、「板はBBSの設定に従う」、「スレは板の設定に従う」を選んだままにしておく。フォントの大きさはzipファイルのstyle.txtを編集したり「設定>フォント」を調整する。「レス表示->Physical Fontを使用>IPAモナーPゴシック サイズ14 アンチエイリアス」。「その他(UI用)->True Type Fontを使用する>meiryo mod 12pt AA」を選択しスケールを1、縁の処理にアンチエイリアス。
meiryo mod 12pt AAフォントはttp://www39.atwiki.jp/v2cwiki/pages/50.html#id_79165b51 から。
IPAモナーフォントはhttp://www.geocities.jp/ipa_mona/ から。
フォントをインストールするには、Nautilus(ファイラー)でフォントファイル (*.ttf等) を開いて、フォントのインストールボタンを押す。 - 他に、キーバインドとマウスの設定をする。だいたいJane Styleと同じにできる。設定が面倒だけど見栄えを良くできたのでV2Cは十分使えると思う。
Linux-Mint上のV2Cの画面だが、スタイルの設定をすることにより見栄えが格段に上がっているのが分かると思う。
(V2Cが文字化けしている場合、meiryo mod 12pt AAフォントとIPAモナーフォントをインストールしたら直る。これらをインストールしてもJavaのコントロールパネルの文字化けは直らない。) - Javaのコントロールパネル(/usr/lib/jvm/java-6-sun-1.6.0.26/bin/ControlPanel)が文字化けしている場合、Javaが日本語フォントを見つけられないのが原因と思う。fallbackというよく分からない仕組みを使ったら直った。/etc/java-6-sun/fontconfig.propertiesを見るとkochiとかsazanamiとか入ってないフォントが指定してある。入ってるフォントをfallbackから指定してやればいいらしい。
cd /usr/lib/jvm/java-6-sun-1.6.0.26/jre/lib/fonts
sudo mkdir fallback
cd fallback
sudo ln -s /usr/share/fonts/truetype/takao/Takao* ./
(参考、ttp://qiita.com/items/3001 Linux MintでのJavaの文字化け対策
ttp://java.sun.com/javase/technologies/core/basic/intl/faq_ja.jsp Java 国際化 FAQ) - ここで再起動すると、ウィンドウマネージャーが大幅に変わっていた。タスクバーにショートカットを登録できてたのにできなくなっていたり、スタートメニューの位置が上下変わっていたりした。別のウィンドウマネージャーをインストールして使うか、すでに入ってる他のを使うのが良さそう。sudo aptitude install cinnamonでウィンドウマネージャーcinnamonをインストール。ログイン画面のパスワード入力欄の右上のボタンでこのウィンドウマネージャーを選択できる。GNOME-ShellよりCinnamonかMATEの方がいい。(LinuxMintのフォーラムページのどのデスクトップ環境が好きかというアンケートページで人気があった。ttp://forums.linuxmint.com/viewtopic.php?f=143&t=100787)
- デスクトップにショートカットを作成する。"gnome-desktop-item-edit ~/デスクトップ/ --create-new"という中身のファイルを"~/.gnome2/nautilus-scripts/Create New Launcher"というファイルに保存して実行可能にする。デスクトップを右クリックした時にメニューが出てくる。それでデスクトップにショートカットをいくつか作成。 (参考: ttp://forums.linuxmint.com/viewtopic.php?f=42&t=86813&start=0)
感想
Linux Mintの日本語環境を作るのが少し大変だったが、先にUbuntuをインストールして慣れていて良かったのかもしれない。
LinuxをインストールしてLibreOfficeがインストールしてあることが分かったが、Microsoft Officeの代わりに使えると思う。JA福岡市が「LibreOfficeマニュアル活用編」で無償公開したり(2012/02)、会津若松市の市役所がオフィスソフトをOpenOffice.orgからLibreOfficeに切り替えたり(2012/02)、LibreOfficeの開発団体The Document FoundationがLibreOffice 3.4.2を公開したときに業務利用が可能であると発表(2011/08)したりしている。Windows上で動作する無料のテキストエディターはいくつもあるが、リッチテキストを扱える無料の高機能エディター(表や目次の機能)はほとんどないに等しい。そんな中、LibreOfficeのWriterが使えることが分かったのが良かった。
これをさらに進めるとLinuxをデスクトップ用途で業務利用ができるかということになるが、ウィンドウマネージャーの安定さ、GUIの使いやすさでWindowsの方が全然上。セキュリティ系のフリーソフトがある分だけセキュリティもWindowsの方が上かも。エクスプローラーの右側でコピー・ペーストできるが左側のツリー上のがなかったり、ファイル管理にしてもGUIの使いやすさが弱い。ftpサーバーを動かしてみようとしても、どこにあるかがよく分からないいくつかの設定ファイルをテキスト形式で正しく編集したりしないといけない場合があるので、初心者に優しくない。Windowsのソフトだと1箇所でGUIで設定できるし、間違った設定を記入したらエラーで教えてくれたりするから、初心者に優しい。誰かがオープンソースでWindows並のGUIの使いやすさやを持ったウィンドウマネージャーやその他の仕組み(GUIのコントロールパネル等)を作ってくれない限り、一般ユーザーがLinuxをデスクトップ用途で使うことはないと思う。LibreOfficeの例があることから、誰かがWindows XP並の操作性を持ったデスクトップ環境を作ってくれれば・・・。そういえば、UbuntuとMintをインストールしてみたが、Windowsの方が使いやすいから使う理由がほとんど思い至らない。LibreOfficeを見つけたということは有益だった。
良かった点
- Ubuntuみたいにrootが使えないようになっていない。
- BansheeメディアプレーヤーでPodcastが聴ける。
- ウィンドウの閉じるボタンが右上にある点。ubuntuは左上だった。
- 最初からLibreOfficeの全種類(Base/Calc/Draw/Impress/Math/Writer)が入っている。UbuntuはBaseが未導入だった。
- Alt-Tabが普通の動作をする。Ubuntu(のデフォルトのウィンドウマネージャー)は使いにくかった。
- タスクバーの項目をクリックしたらウィンドウが最小化される。Ubuntuはされなかった。
- Ubuntuの時もそうだったがWindows7よりもフォントがきれいな気がする・・・!?
Ubuntuの(デフォルトのウィンドウマネージャーの)不満点が解消されているところばっかりだ・・・。補足すると、Ubuntuのいいところは、日本のユーザーが多くて情報交換がしやすいのと、日本語環境の整備が進んでいる点。英語が弱い一般ユーザーが日本語対応していない環境を使うと思えない。
悪かった点
- 再起動したら、ウィンドウマネージャーが大幅に変わった。
- Linux MintはDuck Duck Go(ttp://duckduckgo.com/)という検索エンジンをデフォルト搭載していた。
その他
メモがわり
- Live Writerの代わりになるかと思ったが、日本語のブログでBlogiloは動作しない。日本語の文字コード(UTF)を設定できないのが致命的。
- gpartedはext4のパーティションのリサイズができて便利。
- loadkeysを使ってコンソール画面でコントロールキーを入れ替えれる。jp106.map.gzみたいなファイルを元に編集してkeycode 29 = Controlとkeycode 58 = Caps_Lockを入れ替える。
- dpkg -r だと設定ファイルが残る。dpkg -P (=--purge) する必要あり。 -Pだとうまく行かない場合があったので、apt-get purgeやapt-get autoremoveが良さげ。
- /var/cache/apt/archives に.debファイルが置いてある。$ dpkg -X [.debファイルの場所] [展開先]で.debアーカイブを展開できる。
- ext2fsdでwindowsからlinuxパーティションにアクセスできる。
- /usr/share/applications/にスタートメニューの一覧が載っている。
ショートカットキー
- Ctrl+Alt+T : 端末を開く
- Ctrl+Alt+左右 : ワークスペースの移動
- Windows+D : デスクトップの表示
- PrintScreen : スクリーンショット
- Alt+Space n : 最小化
- Ctrl+h : nautilus(ファイルマネージャー)で隠しファイル表示のトグル
- Ctrl+Alt+F1 WMからコンソールを開く
- Ctrl+Alt+F7 WMに戻る
- Ctrl+Alt+BackSpace ログオフ